杖心会で学ぶもの

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古傳 神道夢想流 杖術こでん しんとうむそうりゅう じょうじゅつ

神道夢想流杖術は今から400年余り前、宮本武蔵とほぼ同時代を生きた夢想権之助が編み出した杖を遣った武術です。
現在太刀対杖の64本の形と、太刀対太刀の12本の形が伝承されています。また併伝武術として、内田流短杖術、一角流十手術、一心流鎖鎌術などが伝えられています。

夢想権之助により創始された神道夢想流杖術は、明治維新までは黒田家福岡藩の男業(だんぎょう)の中核をなす武術として伝えられ、維新以降現在に至るまで、時代時代の伝承者の手により連綿と伝えられてきました。

神道夢想流杖術の術技は、杖の特性を最大限に発揮するための合理的な身体運用や打突の多様性などから構成されており、そのため伝わる形、その稽古においても、徹底的に無駄が削ぎ落とされ、厳しく、烈しい内容となっております。

そのため当会では初心者にはまず全日本剣道連盟 杖道(通常制定形(せいていがた)と呼んでおります)を学んでもらい、武道の動きに慣れていただき、身体能力を向上させてから、進度及び本人の希望により神道夢想流杖術を学ぶ形式を採っております。
 そのほかにも当会にて伝承している武術を会員の進度やイベントの内容を鑑みながら適宜教授しております。

代表的なもの

神道夢想流杖術

神道夢想流杖術

神道流剣術

神道流剣術

内田流短杖術

内田流短杖術

各種呼吸法及び歩法

各種呼吸法及び歩法

全日本剣道連盟 杖道ぜんにほんけんどうれんめい じょうどう

全日本剣道連盟制定杖道は、神道夢想流杖術をベースとして昭和43年に制定された現代武道で、基本動作12本と太刀対杖の12本の形が定められています。杖道は相手の攻撃に応じて変化し、制圧することを旨としており、その精神は「人を殺さず、傷つけることなく、しかも己の身を全うする」ことにあります。稽古形態並びに試合、審査は原則仕杖(しじょう)と打太刀(うちだち)の二人一組にて行われ、必ず仕杖が打太刀を制する形となっております。

形を競う武道であるため、体格差・年齢差・男女差などに関係なくその技量を尽くせる数少ない武道といえ、武道初心者、あまり運動をされてこなかった方にも親しまれる一因となっております。杖道鍛錬の効果として次の5点が期待されています。

  1. 礼儀、信義、誠実、忍耐等の精神が養われる。
  2. 身体を強健にし、活動を敏活にする。
  3. 姿勢態度がよくなる。
  4. 判断力、決断力が養われ、自信をもって事に当たれるようになる。
  5. 対人関係がよくなり、社会生活に必要な協調性が養われる。

基本技稽古

基本技稽古

集団での形稽古

集団での形稽古

杖道大会を終えて

杖道大会を終えて

杖道の特徴

杖というものは切ることも刺すこともできない”たんなる丸い木の棒”です。その杖をもって”切れる、刺さる”太刀に対しますので、杖が持つ特性を十分に引き出した技を遣う必要があります。

その技法のひとつとして、持ち手の幅を変えながら滑らせて遣う操法があり、これにより相手との間合いを詰めることも広げることもできます。また右転左転し、太刀と正対することを避けて、太刀の優位な間に入らないようにするなど体捌きにも独特のものがあります。古歌にも「突かば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにも はずれざりけり」と謳われており、杖道の特性である左右から繰り出される突き、払い、打ちなど「千変万化」の動きを捉えた歌と言えるでしょう。

白樫製の杖
白樫製の杖
白樫製の太刀大小と革鍔
白樫製の太刀大小と革鍔

杖道と健康

杖道は杖という棒をもって行う武道ですが、この”杖を持つ”ということが一般の方にとって慣れない動作となります。
杖道の特性の一つに”手いっぱいにとる”というものがあります。この制約の中で様々な杖の遣い方を学ぶことで、普段の生活では使わない筋肉や骨を動かすことになり、身体能力の向上も期待できます。
例えば身体の左右を偏りなく使う動きや、無理なく肩より上に腕を回す動きなどがそれであり、その結果バランスの良い体作りを目指すことができます。
また思いのほか手のひらをよく使い、その結果脳の活性化も期待できるといわれており、初めて杖道を体験した方に感想を聞くと、体もそうだが頭も疲れたという言葉をよく聞きます。慣れない動作に挑戦するため、知らず知らずのうちに頭をよく使った結果だと考えられます。

呼吸法と呼吸杖こきゅうじょう

当会独自の稽古体系として、呼吸法、歩法、呼吸杖と呼んでいる身体の運用法を行います。
呼吸法につきましては昭和50年代後半に当会創始者である松井健二師範が、当時学んだ呼吸法を武術的視点により自己で発展展開することの許可をその指導者より得て、工夫を加えられたものを40年以上に渡り行っております。
この呼吸法は丹田の浮遊、身体の適度な弛緩、軸と揺らぎ、捻転などという条件を様々な形で体に与えながら、全身呼吸にアプローチする形をとることにより体内の酸素を増やし、細胞のリフレッシュにつなげるというものです。
歩法に関しては靴や椅子に座る生活が長く、身体を動かすことが日常生活でも希薄になった現代人の体を武術の修行に馴染むよう工夫されたものです。

呼吸杖とは松井師範が前述した呼吸法を学ばれた際に、当時健康を害した門下生や関係者の身体改善策として、また真の武術追及を望む方の杖の操法の基礎作りとして創意工夫の上考案したものです。
この呼吸杖は呼吸法によって身体のリフレッシュをはかりつつ、杖の操法によって外部の脳といわれる手を様々な形で刺激し、身体の運用幅を広げ、健康法としても多大な効果が期待できるものです。

呼吸杖(代表的なもの)

①下からの逆手打ち

②逆手の引落打ち

③横からの返し突き

各種歩法

各種歩法
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